フォロー・ミー
つぐみは何の気なしに口にしたのだろう、だからこそその一言があたしには堪えたのだ。
「私、ひとりめの子は女の子がいいな」
がっかり、とも言い表せそうな静かな衝撃。息が詰まり手は強張り声が出なくなる。児童公園のブランコの上、あたしの沈黙はつぐみの発言に余計な重みを持たせてしまった。
「あ」
はっとして顔を上げたつぐみに非はない。それでも。
「……ごめん」
謝るのはあんまりじゃないだろうか。
ごめん、と口に出してからその言葉に引っ掛かりを覚えるのに一秒、凍りついたひなたの表情を盗み見るのに二秒、自分のしでかした過ちに気づくのに三秒。
「ちがう、今のはそういうことじゃなくて」
「どういうこと」
「わすれて」
絶対に忘れられないだろうと思う。私も、ひなたも。
その後私は我を忘れたひなたに組み敷かれて衆人環視の中でいろいろされた、というのはもちろん嘘だけど、なんだか妙な雰囲気にはなって、ひなたは照れたのか怒ったのかじゃあと一言で帰っていった。私はカラフルな公園のブランコから立ち上がるタイミングにおおいに悩んだ。
らしくない反撃を食らったのはだから翌日。
「あたし第一志望は女子校にしようかな」
進路希望の紙に、共学か否かの記入欄なんてない。
[08/06/22]
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