a Lighting girl


 永遠なんてこの世に存在しない。これまでにどれだけの人が謳ってきた文句だろうか。
 きっとそれは真理なのだろう。ではどうして永遠などという言葉が、概念が生まれたのか。やはり憧れから来ているものが大きいんだ、とは安っぽいJ-POPの歌詞。
「アスカ、この前買った鏡デコろうよっ」
「おっけー、なんて書く?」
 ゆうじょう。らぶ。しんゆう。なかま。ずっとともだち……。きれいなみんなからきれいな言葉が飛び出してくる。お揃いで買った無地の鏡が何色ものペンで彩られていく。
「とわの絆、とかどお?」
 いいね、いいね! キュッ、キュッ、とペンのキャップを外すおと。この子たちにだってわかっている。あたしたちはすぐにばらばらになる。別れの日は大いに泣いて、けれど一月もしないうちに何事もなかったかのように平気な顔をしてそれまでとさして変わらない気持ちを抱えていく。あたしたちにとってそれはいつか死ぬのと同じくらいにわかりきった未来なのだ。
 誰かが言うように薄っぺらい友情、なのかもしれない。客観的に見てそうだとしても構わない。肝心なのはどこまで自分をだませるか。いままわりにいるみんなはなにより大切で失い難くてお互いに固いなにかで結ばれていてこの気持ちはずっとずっと持続する。ちいさなちいさな箱の中であたしたちは笑って笑って笑って泣いて笑って笑って。かわいいよなにいってんのあんたのほうが、あーやばいちょうたのしいまじで。秒針がひとまわりする間には忘れてしまうような言葉をつみかさねていく。
「アスカちょっと来てぇ、マリがね、あいつに泣かされてぇ」
「な・なんだって?!(笑) マリ大丈夫、あんなヤツの言うことなんて聞かなきゃいいんだよ、あたしがガツンと言ってやるから」
「ありがとうっ。 アスカってやっぱり優しいね」
「親友のためなら当たり前だ!」
 それでも時折ながいながい時間のなかにいるような錯覚がおきる。それは必ず寂しさというやっかいなものを伴ってしつこく付きまとってくる。みんなといる時間はとても楽しい。とてもとても楽しくそしてとても空しい。けれどそんなことは誰ひとり口に出したりしない。当然の話だ。
「ねぇねぇアスカ、今日塾のまえプリ行かない?」
「おー! ナイス提案(笑)! 行こ行こ」
「じゅ、塾忘れてたあっ。やばいやばい誰か宿題みせて!」
 いいよぉあたしのどうぞ。あたしもプリント貸すよ。じゃああたし写すの手伝うね。○つけはやっとくよ。……。
「ありがとうみんな、ちょー感謝!」
 声はとぎれることなく耳にはいってくる。
 あたしたちはそう遠くない未来離れ離れになる。残酷すぎる事実。でもあたしたちはそれが不幸だなんて決して言わないし思わない。きっといま一緒にいる子たちが、ほかの誰かだったとしても大差はないから。


[07/10/20]
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